琴音ちゃんって、彼氏は?」

「いないよ」

「美香もなんだよ!欲しいよね~」

「カッコイイ人いないかなー?」

「ねぇ、クラスの男子の中で、1人選んで告白してみようよっ!」

「えっ!?」

まさか、このことが本当になるなんて、この時は考えもしなかったよ。


それから毎日のように、美香ちゃんは私に告白しようと誘ってきた。

最初は断っていた私も、だんだんやってみたくなってきて、私たちは告白をする約束をした。

私は入学してすぐから、右斜め後ろの松田 風雅という男の子と仲が良かった。


そして、どことなく絡みやすいタイプの彼に、親近感を覚えていた。

そのためか、どうやら私と風雅が付き合ってると、みんな思っていたらしい。


「あの、私。並木 亜矢って言うんだけど、よろしく。」

ある日、同じクラスの並木さんから声をかけられたことによって、その事が分かったのだ。

「うん、よろしく。」

「あ、私の事は、亜矢って呼んで!」

「じゃぁ、私の事は琴音って呼んでね。」

と、よくするやり取りをした後、亜矢は話をきり出した。

「琴音って、風雅と付き合ってる?」

「えっ!?ないないっ!ないよ」

「あ、そうなの?」

この時、後に亜矢との間に何が起こるかなんて、想像もしなかった。

「うん。」

「入学式から仲良かったから、付き合ってるのかと思ってたよー。じゃぁ、私に協力してくれる?」

「何の協力?」

「私、風雅が好きで、告白しようと思ってるんだー。」