…その方が都合がいい。 変に勘がよくて着飾ってる女よりも、鈍感な奴の方が落としがいがあるから。 『……。』 ――まだ、認めない。 生まれた美穂に対する感情を認めるのは、美穂が俺に惚れてから。 …俺から、っていうのは気にくわないし、 なにより、俺は美穂より上の立場に立っていたい。 (…苦いのは苦手なんだけどな。) そんなこと思いながら、俺はもう一口、コーヒーに口をつけたのだった。