意外と話はとんとん拍子に進んで行った。
綾香の両親も最初は驚いたものの、相手が裕二であることと、自分の娘が結婚できるということにむしろ喜んでくれていた。

結婚式は簡略化されていたが幸せなものだった。

裕二は面白いほどに緊張していて右手と右足が同時に出てて思わず吹き出してしまった。

綾香のベールを上げ、裕二が優しくキスをした。

綾香は綺麗だった。少しお腹が目立っていたものの、白いウェディングドレスがとてもよく似合っていて裕二は見とれてしまったほどだ。
あの川口は綾香の姿をみて号泣した。

新婚旅行は裕二が復帰して間もないこともあって省略してしまった。でも綾香は裕二の復帰の方を喜んでくれていて、なにも問題ないと言ってくれた。

だから結婚式が済んですぐに普段の生活になった。
綾香と一緒の新居に引っ越したこと以外は。


「裕二君。裕二君?起きて?」
目を開けると綾香のドアップで少々驚いた。
その様子に綾香は笑った。
2人で朝食を食べながら裕二は呟いた。

「もう9か月か…早いなぁ」
「うん」
綾香は自分のお腹をなでた。