綾香は会社でそわそわとしていた。
仕事も手につかない。

今日は裕二の復職の日だ。大丈夫なんだろうか…?
精神科の先生は納得してくれたって言ってたが、結局復職するのに2ヶ月かかった。

でもこの2ヶ月で外に出るようになったし、表情も豊かになって前の裕二のようになった。

かをりと最後にどんな会話をしたのかは分からないが、あの時から裕二は何かが取れたようになった。

その時背中をポンと叩かれた。
不意打ちに綾香が叫ぶ。

「きゃあ!!」
「わぁ!!」

そこには驚いた川口が立っていた。

「あ…び…びっくりした…」

「そりゃ私の台詞よ」

川口はプンプンと怒った。その様子に綾香はつい笑ってしまった。
川口はそれに怒るわけでもなく一言言った。

「今日から復職だねぇ…」

綾香は不安そうな顔をした。

「はい…」

それを察したように川口は笑った。

「大丈夫だって!!」

綾香は窓の外を見て溜息をついた。