「ん…」

綾香は眩しい蛍光灯の明かりで目をあけた。

眩しい。

「綾香!」

見ると両親が一生懸命綾香を見ている。


その反対側を見てみると裕二が手を握ってくれている。

ここは病院のようだ。

「あれ……?私」

「まったくもう!8階から飛び降りるなんて!どれだけ心配したと思っているのよ!」

両親は泣き始めた。

ああ…そうだ、黒井から逃げようと窓から…

「あれ、私、怪我は…?」

「無いよ」

裕二が微笑んでる。

「…黒井さんは?」

裕二の腕を掴む。

裕二はその手を優しく握って言った。

「もう逮捕されたから大丈夫だよ。平沢が落ちた綾香を助けたんだ」

「かをりちゃんが…?」

両親は訳がわからない顔をしている。

裕二が優しく言った。

「もう、終わったんだよ」

その言葉で心底ホッとしたため息をついた。



──終わったんだ…──