【完】先輩◆同級生《隣の席の不思議な王子》

キヨちゃんはそれ以上のことを語ることはなく、右手で旭の肩を抱き、私の方を向く。



「出よう。居心地、悪い。」



「う…ん!」



キヨちゃんはスクールバッグを肩にかけた左手で私の手首を掴むとすたすた歩き出す。



私も慌ててバッグを握った。脚が長いせいで、キヨちゃんは歩くのが早い。



その勢いのまま、靴箱までたどり着くと、旭はまだ嗚咽の止まらない声で言った。



「眞木さん、ありがとぉ。」



特に表情を変えずそれを聞いたキヨちゃんは、柔らかく目を細める。



「ケーキバイキング、俺も、行きたい。」



その返答に、泣いていた旭が顔をくしゃくしゃに崩して笑った。