【完】先輩◆同級生《隣の席の不思議な王子》

キヨちゃんの部屋は階段を上ってすぐのところで、レンガオレンジの色のドアがちょこんと私を迎えた。



「寝てると思うけど、いい?」



「はい。顔だけ見たら帰りますから。」



キヨちゃんのお母さんは私にもう一度微笑むと、私を置いて階段を下りていく。



「キヨちゃん。入るよー。」



私は小さくドアをノックして声をかけたけど、返事がない。多分寝てるんだと思う。



そうだとしたら起こしたら悪いし、私はそっとドアノブを捻り、キヨちゃんの部屋へ爪先からそろりと入った。