【完】先輩◆同級生《隣の席の不思議な王子》

教室が変な空気に包まれる。



そのドアを開けた人物は、灰色の憂いを帯びた瞳に、その瞳と同じ灰色の色素の薄い髪色が印象的な、同じ制服を着た男の子。



クラスメイトの男の子達とは雰囲気が違う、そんな印象。



「眞木!遅刻だぞ!何をしているんだ!」



担任がそう言うと、彼の怖いくらい透き通る、ビー玉よりも真ん丸な瞳が教卓の方に向く。



少し右に曲がった、いわゆるアヒル口気味の小さな唇が、言葉を紡ぐ。



「ねぼう。」



抑揚のない声だけど、柔らかい刺のない声。不思議な雰囲気の持ち主だと思った。