俺の兄貴には彼女がいる。 「ちょ、ちょっと。青!助けてよ!」 美人毒舌先輩。 音宮透子。 この人は結構怖い。 他人の弱さを知っていて、自分も弱いと思っている。 けれど優しい。 突き放すだけの言葉じゃなくて、その酷い言葉から前を向いていける。 こんな人にも弱 「ちょっと、青!」 点があ 「聞いてんの!?」 る。 俺の兄貴、雪比良栄。 一番上の兄貴、澪に継ぐ腹黒い人間。 …というか…。 「家の中で叫ばないでもらえまスか、先輩。」 さっきからリビングから聞こえる悲鳴。