勢いに乗って失敗して、傷つくのは本人。 「…そっか。けど、もしもそうなったら真っ向から喧嘩挑むよ。」 「それはそれは楽しみだ。負ける気がしない。」 「同感。」 馬鹿みたいな会話に気を合わせながら笑う。 「…あ。」 透子は歩みを止め、立ち止まる。 「なんだ?」 「…あ。」 近くに立っている男子も立ち止まった。 綺麗な黒髪と端整な顔立ち。 …誰だ、こいつは。 少し不機嫌そうに彼は、眉を顰めて俺と透子を見る。 彼の手には買い物袋。 「…あたしの父親。」 透子が慌てて弁解するように言った。