「…スランプで走れなくなった奴とか、走らなくなった奴とか、意外に多いんですよ。」 「そうなんだ。」 「今までそんな経験無かったもので。もう思う通りに走れなくなるのかと思うと不安で──」 「気を紛らわせたくなった?」 通販番組が消える。 思い通りに足が動かない。 タイムが落ちる。 周りからの視線が痛い。 感じたことの無いプレッシャーが肩に乗る。 それに気付いて欲しかった。 「フラオブがどうでも良いとかは思って無いですけど。」 「分かってる。」