ポンポンと肩を叩かれ薄く目を開ける。
そこには、この事務所には滅多に入ってこない真央が居た。
「今、大丈夫?」
「ん。大丈夫」
私は重い体を机から無理やり引き剥がす。
真央は事務所のドアを指差し「ちょっといい?」と促してきたので私は頷くと席を立った。
真央の後ろに着いていくと、事務所を通り過ぎ会議室を通り過ぎ……
ガチャリと開けたのは非常階段の扉。
ここは『全館禁煙』と言われながらもなぜか灰皿が置いてあって、私も時々ここで休憩していた。
真央は灰皿の前に立つと、ブレザーのポケットから煙草とライターを取り出す。
まさかONモードの時に喫煙……?

