彼の優しく慈しむように感じる表情に触れられたからかもしれない……



名前を呼ばれて微笑まれるだけでドキドキするなんて今まで1度も経験したことがなくて。



「じゃあ戻ろうか」


「……はい」



立ちあがった彼に顔を見られないよう、俯いたまま腰を上げた。



――好き……


本当に彼が好き……



自分の気持ちに嘘は付けない。


好きだという気持ちが溢れ出て来る。





――拓海さん……


私はホントに貴方が好きみたいです。



……このまま



想い続けてもいいですか?



前を歩く彼の背中へ、口に出すことの出来ない言葉を心の中で問いかけていた。