「そういえば、2人って彼氏いるの?」



私が落ち着き、改めて飲み始めた頃、上原課長はニコニコ笑いながら聞いてきた。


好きな人はいるけど……



「い……いません」


「私はいます」



真央は新しく煙草に火を付けていたけど、初めて聞く話に驚いて彼女の顔を見た。



「そうだね、奈央も知らなかったっけ?いつも仕事の話しかしてなかったし隠すつもりじゃなかったんだけど」



首を傾げて「ごめんね」と言う真央に私は首を横に振った。



あえて仕事の話をして恋愛話は避けていた。


恋愛話をすれば、私は彼の話をしなければいけなくなる。


――だけど、まだ真央には言えなくて……