「……俺、お義兄さんに認めてもらえたんだよな?」

「……お兄ちゃん、彼女いたんだ」



同時に呟いて。


同時に顔を見合わせて。



――同時に笑った。



それも吹き出してから零れ出るかのように……


幸せってこういう瞬間の積み重ねなのかもしれない。





『運命』



最初に電車で出会った時に拓海との運命の歯車が小さく軋んだ。


会いたいと何度も願って、歯車が動きだし……


再び巡り会う事が出来た。


運命に感謝もしたし恨みもした。


お互い傷ついて。


傷付けあって。


私は何度も手を離そうとした。



それでも……