「ところで、式はどうするんだ?」



ケーキを食べ終え、2杯目のコーヒーを入れた私が座ったと同時に兄からの問いかけ。



「拓海はちゃんと挙げようって言ってくれてるんだけど……私は婚姻届を出すだけでいいと思ってる」



――最近、拓海との衝突はこの事だった。



拓海からは何度も式を挙げるべきだと説得されるけど……


私は初めてでも拓海は2回目で。


どうしようもない事実だと分かっていても、躊躇う気持ちがある。



「和装はどうなんだ?」


「わ、和装?」


「奈央は白無垢も似合いそうだと思うけどな。兄の欲目か?」


「奈央の白無垢は見てみたいな」



兄と拓海にたたみ掛けられ、返事に詰まってしまう。