「奈央?」



部屋で携帯を開いたまま、どれぐらい過ごしていたのだろうか。


気が付くと、拓海がすぐ傍でスーツを着たまま立っていた。



「あっ、ごめん。気付かなかった」



慌てて零れていた涙を右手でゴシゴシ擦る。



「どうした?」


「ん?あ〜真央からメールが来た」


「あ、真央の事で話があるんだ」


「え?」



拓海の言葉に顔を見たけど、仕事帰りに寄った拓海はスーツを着ていて。


胸ポケットから見覚えのある封筒を出した。



「それって……」


「ん。真央の招待状」


「拓海にも届いたの?」


「いや……ちょっと話が長くなるから着替える」