「本社勤務の片瀬です。よろしくお願いします」



真央が上原課長に頭を下げたんで、私も「岡本です」と頭を下げた。



――びっくりして挨拶するの忘れてた。





「遅れた!」





後ろでガチャリとドアが開き、私が後ろを振り向いたのと上原課長が「おう、待ってたぜ」と言ったのが同時で。





――ドクン!!





そこには……





何百回も会いたいと願っていた……





彼が……



立っていた……





「藤井、新入社員の岡本さんと片瀬さんだ」



社長の声が遠くで聞こえていて。





――ドク、ドクドク、ドクドクドク……