カウンターの上に置かれた真央の手に自分の手を重ねる。
「今は彼の方が大切……なんだね」
真央は俯いたまま、また首を縦に振った。
「彼と同じ道を歩けなくても一緒に居たいと思う?修ちゃんサンと別れても真央は幸せになれる?」
――私の想いが真央へ伝わるようにと祈りながら。
「好きで愛おしいと思って一緒に居るのも愛だけど、彼を想ってるなら、彼の今の立場を修ちゃんサンから守ってあげるのも愛だと思うんだ」
「守る……?」
「奥さんのいる彼がじゃなくて、過去を含めての彼自身が大切なんでしょ?」
拓海の笑顔が私の頭を過る。
過去に負った心の傷も含めて、今存在している彼が大切だから。

