私は拓海のしぐさを見ながら、胸の内で燻っていた正体に気付いた。



「真央も……」


「たぶん。まだ佐々木が受け入れてもらったって感じだと思うけど。このままだと時間の問題じゃないかと思う」



拓海の指は止まっている私の手元を示していて、慌ててグラスを磨く作業を続ける。



「佐々木はああ見えて真面目だし、正直感心する面を何度も見てる。人間的に嫌いじゃないんだ、俺は」


「……うん」


「だから、どうやって真央とそうなったのかは分からないけど、たぶんアイツも本気なんじゃないかって思える」


「……うん」