その平日にわざわざお店まで足を運んだからには、何か急な話があるのだろうと。
「真央が髪型を変えたんだ」
「髪型?」
「うん。少し短くしてパーマをあてた」
「……」
店内にはグラスを磨くキュッキュッとした音が響く。
「あと、佐々木の目が穏やかになった」
「……目?」
「たぶん周りは気付かない程度の変化だと思うけど、たぶん俺が奈央に向けてたんだろうなって思えるそんな目」
「それって……」
「たぶん、あの2人何かあったと思う」
右肘をカウンターにつき斜めになった顔を支え、左手でボンベイの入ったグラスを傾けている。

