「いらっしゃいませ」 仕事に頭を切り替え、テーブルへ腰掛けたお客さんの元へ向かう。 注文を貰ってカウンターへ戻ると、財布を手にした真央が立ちあがろうとしていた。 「もう帰るの?」 私の問いかけに頷く真央。 いつも通り清算した彼女は静かにドアを開けて寒空の外へ向かって足を踏み出していて。 何か胸につかえるものがある。 ――その正体が何なのか? 気になったものの真央には直接聞けず…… 少しだけモヤモヤした気分を払拭して、注文してもらったカクテルを作ろうとお酒の並ぶ棚へ目線を映した。