季節は冬を迎えていた。



「明日は忘年会だから、社長に付き合うよ」



拓海は溜め息を付いていたけど、私は笑うしかなかった。


相変わらず全社員の飲み会の後は、役職の付く社員を連れて場所を移動する社長。


普段の頑張りを労わる意味と役職ならではの悩みや愚痴にしっかりと耳を傾けるようだ。


皆、社長の好意を知っているから断ることはほとんどない。


もちろん、拓海もその1人だと私は辞める前から知っていた。



「たまには付き合ってあげないと」


「そうだな。社長にはいろいろ心労をかけてるから」