こうして毎日が過ぎて行く。


穏やかな日常。



それが少しだけ崩れたのは……


季節が夏を終えようとしていた頃だった。





最初は驚いて思わずカウンターの下へしゃがみ込んだ。


常連さん以外の顔。


そして私が知っている人。



「へぇ〜隠れ家みたい」



知ってる声が私の耳を通り過ぎる。



「いらっしゃいませ」



突然しゃがみ込んだ私を一瞬心配そうな目で見たマスターは声の主へは穏やかに微笑んでいた。



「1人だけど」


「そちらのテーブルへどうぞ」



マスターが促したのは入口近くにある2人掛けの丸テーブル。


彼は進められるまま移動した。