「……で、真央は何かあったの?」
2杯目は真央の好きなアプリコットクーラー。
静かに目を伏せていた真央は私に声を掛けられて驚いたのだろう。
パッと目を開くと顔を上げた。
「どうして?」
「ん〜何だか話したいオーラが出てる?」
「ふふ。奈央もマスターに少し近づいた?」
「まだまだ足元にも及ばないよ」
「だけど当たってるよ?奈央に少し話したい事があって」
カクテルをグイッと飲んだ後、カランと傾けたグラスの中の氷が揺れる。
真央は半分ほどになったアプリコットクーラーをコースターの上に置くと、横に置いてあった煙草を手に取り火を付けた。

