「何だか1人前?」
「何で疑問形?」
「なんとなく?」
「なんだ、それ」
カクテルグラスに注いだバレンシアを静かに真央の前へ置いた。
――どんな感想なんだろうか?
真央がカクテルグラスから口を話すまで凝視していた。
「美味しいね。さっぱりしてるし飲みやすい」
お褒めの言葉をいただき、ホッとする。
やっぱり作り手としては『美味しい』という言葉が一番の褒め言葉で。
「奈央ちゃん、嬉しそうだね」
マスターから声を掛けられるまで、自分の顔が綻んでいる自覚がなかった。
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