マスターは近くのワンルームマンションの一室をほとんどタダ同然で与えてくれた上、月給制で雇用契約を結んでくれた。


仕事は夕方の仕込からカウンター内外の接客。


午前2時閉店までの勤務、後片付けと今まで知らなかった店のすべてを知る事が出来た。


マスターと一緒に働いていた男性が、結婚を機に昼間の仕事へ転職が決まり、辞めるのと私は入れ違い。


今までの仕事とは何もかもが全く違う環境に、最初は戸惑ったものの、3カ月もすると昼夜逆転の生活も仕事のペースにも慣れていた。



一番大変な事。


お酒の種類を覚える事だった。


カクテル1つにしても、分量・種類をきちんとしないと同じ味が出せない。