だけど、力強く腕を引っ張られ、そのまま座っていた椅子へ戻される。



「まだ……話は終わってない」



そう言うと拓海は唇を結んで私を見る。


その瞳からは今までと変わらない想いが伝わってくる。



「嫁さんとは離婚する」



迷いのないきっぱりとした口調。



「ダメだよ。奥さんの元へ帰らないと」


「もう決めたんだ。この考えは覆さない」


「ダメだって」


「ダメじゃない」


「今の環境を変えちゃダメだよ」


「奈央が居なくなる環境なんて俺にはいらない」


「どうして?」


「別れようと思ってんだろ?このまま終わりにしようって思ってんだろ?俺は絶対別れない」