いかにも和を基調とした落ち着いた雰囲気。


獅子落としが一定のリズムで音を奏でる。



しばらく歩くと一番奥にある部屋の障子を開けられた。


無言で敷居を跨ぐと、大きな和室の中央に小さい御膳が3つ。


あらかじめ社長が予約していたんだと改めて気付いた。



社長と拓海が向かい合う形で腰を下ろす。


残りの席は……


拓海の横。



「お飲物をお持ちしますね」



女将さんの声に、呆然と立ったままだった私は拓海の横に座った。



障子が閉められ、部屋には静寂が訪れる。


障子の間にある窓ガラスからは、さっきの獅子落としが見えた。