社長の口からは中絶の話だけは出なかった。



聞いたのに隠しているのか?


……それとも奥さんがその部分だけは話さなかったのか?



「黙認してるわけにはいかなくなったから」



社長の言葉に目を見開いた。



――黙……認?


社長は私達の事を……


知ってたの?



「とにかく、ここではお前達の話を聞けないから場所を変えないか?」



3人で飲みに行こうと言う社長に、私は頷き拓海を盗み見た。



どうして……?



私の頭には疑問だけが渦巻く。



拓海は……



――微笑んでいた。