グッと膝の上に置いた手を握りしめる。
瞬きを繰り返し、視界をクリアにする。
ホッと溜め息を付いた拓海に決心したばかりなのに肩がビクっと跳ねあがる。
俯いていたらダメだから。
ちゃんと顔を上げないと……
だけど、拓海の唇を見つめるしかなくて。
――これから告げられる話をちゃんと聞かなければ。
崩した足をお尻の下に置いて、きちんと正座をした。
「今日、午後から半休取って嫁さんの実家に行ってきた」
――半……休?
そういえば、昼から事務所に居なかったけど、てっきり得意先を回ってると思っていてホワイトボードを見ていなかった。

