「拓海とこうして過ごせるだけで幸せなの。これ以上の幸せを望んじゃダメなんだよ」
拓海を自分のものにしたいと切に願った結果……
大切な子供を失った。
「今は拓海を失う事が……怖いの」
「だったら!」
「奥さんは悪くないんでしょ?奥さんを今以上に悲しませたらダメだよ」
「……」
「私達は奥さんだけじゃなくって、真央も上原さんも会社も騙してる。それでも一緒に居られる今が私は幸せだから」
「……奈央」
「私、我儘かな?」
「ごめん……俺が我儘なんだ。奈央は俺の立場を守ろうとしてくれてるんだよな?それなのに……」
ギュッと抱きしめられる拓海の腕の中で首を懸命に振る。