「鈴木」
「……奈々ちゃん?」
「奈央だけ可愛がるのはオカシイだと」
「え?」
それって……
「鈴木は可愛くない」
「拓海?」
「何?」
「お、落ち着いて?」
「落ち着いてるって」
そう言うとニッコリ笑いながらも、スーツのままの私の腕を強引に引っ張る。
拓海の膝の上に倒れ込んだ私を後ろから抱きしめる。
「奈央。俺……ちゃんとけじめつけるから」
さっきまで話していた奈々ちゃんの話題からは考え付かない言葉に首を傾げた。
「嫁さんと離婚する」
「な、何言ってるの?」
「前から考えてたんだ」
拓海の腕に力が入るけど、私は身を捩って拓海と向かい合った。

