拓海の優しさに慣れてしまっていて。


拓海の表情の変化が当たり前のようになっていて。


上原部長と同じように、手渡される書類に付箋でさりげなく体調を気遣う言葉が、会社でも気にしてもらっていると思うと嬉しくて。


これが本来の拓海の社内での姿ではないと気付いたのは子供を堕ろしてから半年過ぎた頃だった。



拓海は未だに私の体を気遣ってくれる。



重いものを持たせない、無理な外回りはさせない、体が疲れる残業を極力しないようにフォローする。


他の社員には決して見せない拓海の優しさに気付いたのは……



同じ同姓として面白くないと感じていた後輩の女子社員だった。