拓海が険しい顔をしたのも、私の行動を咎めたのも社内ではありえない事で。
ましてや会議で使う資料を運ぶ事なんて今までなかった出来事。
「まぁだ岡本っちゃんの体調を気にしてんのか?」
上原部長の一言で皆の視線がこちらから外れる。
「唯一の女性部下だし甘やかしてんなぁ」
茶化すように言葉を続けた上原部長に皆の怪訝な顔が納得顔に変化する。
――助けられた?
私も同じように上原部長を見ると、やはりいつもの通り飄々としていて。
気付かれないように頭を下げると、拓海の荷物を持って席へ戻った。
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