「岡本っちゃん、これお願いできる?」



書類から目を上げると、上原部長が微笑んでいた。


去年から拓海と上原さんは部長へ昇格していた。



「コピーですか?」


「うん。今度の勉強会の資料。うちの奴らはタイミング良く外回りに出てるから」



佐々木さんと高橋さんの席は空席で、ホワイトボードにはそれぞれの得意先名が書かれている。



「じゃあ50部ぐらいでいいですか?」


「うん。誤字脱字はま…っと、片瀬さんにお願いしたから大丈夫」


「はは。真央がチェックしたならコピーだけで大丈夫そうですね」



クリップで留めた資料を受け取ると、立ち上がった。