麻酔から覚めた私はしばらく何も考えられなかった。



お腹にはもう……



拓海の子供はいない。



様子を見に来てくれた看護師さんがテキパキと脈を取ったりしている。


まだ体が重くて起き上がれない。


力を入れて、体の横にある腕を持ち上げると、点滴のチューブが右腕に固定されている。



「点滴が終わればボタンを押してくださいね」



看護師さんは優しく語りかけてくれて、私はわずかに首を縦に動かした。



――無事に終わりましたから……



看護師さんの言葉が胸を抉る。


自ら望んだ事なのに……


目を閉じると涙が目尻を伝って枕元へ落ちる。


耳が涙で熱くなる。