彼と私の関係〜もう1つの物語〜




拓海がビクッとしたことを背中で感じた。



「だから……もう拓海と一緒に居られない」



すぐ目の前には縋れる拓海の腕がある。


この腕を手に取れば、私は……



グッと目を瞑って視界から拓海の腕を消す。



――縋ってはいけない。


拓海に私と同じ悲しみを背負ってもらうわけにはいかない。


欲しかった子供を殺めるという……



――決して許されない事を。



「俺達の……子供?」


「…………違うの」


「奈央?」


「拓海の……子供じゃない」



このまま背中越しに話を聞いて。



――私の顔を見ないでください……