「っ……!」
優しく包み込むように後ろから抱きしめられた。
いつも変わらない拓海の匂い。
私はそれだけで幸せだった……
多くを望みすぎたんた。
だから……
この温もりを手放さなければならない。
――拓海、愛してる。
だけど、拓海が一番望んでいる子供を私は……
私は拓海に愛される資格がない。
拓海と一緒に居られない……
せめてすべてが終わってから話そうと思ってたのに。
彼のこういう気遣いが……
今は嫌で嫌で仕方がなかった。
「奈央……」
「明日、子供を堕ろす」
――拓海と私の言葉が重なった。
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