今の状態で子供を産んでも、誰も幸せにはなれないから。 皆が苦しんでしまう。 それでも産んで育てようと思えるほど…… 私は大人じゃなかった。 「……同意書はどうするんだ?」 「彼にお願いは……出来なくて……」 私の目を見た兄は深い溜め息を付いて俯いた。 私が今日、ここへ帰ってきた意味を理解したのだろう。 「お兄ちゃん……ごめん」 「……分かった」 兄はそう言うと立ち上がり、2階の自室へ向かった。 取り残された私はただ涙を零すしかなくて。 ごめんね…… ごめんね…… 赤ちゃん……