私が大人しく椅子に座ると冷蔵庫を開けて麦茶を入れ、私の前に置いてくれた。


実家に居る時は愛用していた黄色のマグカップ。


テーブルを挟んで私の前に座った兄は、水色のマグカップを前に置いた。



「……とにかく、まず話を聞こうか?」



兄の穏やかな声に私は無言で頷く。



どこから……


何から話したらいいのか。



混乱したまま兄の顔を見ると、すべてを包む込んでくれるような昔から知っている優しい眼差し。



ひとつ深呼吸をすると



「私、すごく好きな人が居るの……」





そして、拓海の話を始めた。