「おかえり」 「……ただいま」 実家のドアを開けると、にこやかに出迎えてくれたのは久々に会う兄。 「急に帰ってくるなんてめずらしいな」 ダイニングに続く廊下を歩きながら、それでも声は嬉しそうで。 兄の後ろを歩いていて良かった。 涙で滲む兄の後ろ姿を見ながら声が震えていませんようにと願っていた。 「たまには……お兄ちゃんの顔を見ておかないとね」 「俺も今帰ってきたとこだけ……奈央?」 突然振り返った兄に、私は顔を背けたけど。 「何があったんだ?」 両腕をきつく握る兄を誤魔化せなかった。