それがすぐ甘い香りへ変化したのは



「忘れないように」



レストランで彼からもらった花束だった。


黄色と白で統一された花束は、彼の持つ私へのイメージだと言った。



こんなに爽やかじゃない。


こんなに綺麗じゃない。


だけど、初めて貰う彼からのプレゼント。


嬉しくて仕方がなかった。



「ありがとうございました」



運転席へ体を戻した彼に頭を下げてお礼を言う。


社内のデジタル時計はもうすぐ22時。



このまま車を降りると……


彼との時間が……


――終わってしまう……