「奈央」 再び彼に呼ばれ、もう一度目線を戻すと…… 有り得ないぐらいの至近距離にある大好きな彼の顔。 その瞳が細められると同時に、少しだけ彼の顔が傾く。 ――そして…… 私の唇に彼の柔らかい唇が…… 触れた…… 目を見開いている私を彼は見たまま。 ……キス……? 唇が触れ合っているのに、視線は絡まったまま。 一旦彼の唇が離れると、少し綻んだ。 ――その唇が私に触れた? 「キスの時は目を閉じて」 綻んだ唇から零れた言葉に、今まで大人しかった心臓が急速に心拍数を上げていく。