砂浜を歩くとパンプスの隙間からサラサラとした細かい砂が入りこむ。


素足なら直に感じるその感触も薄いパンストに少しだけ邪魔をされている。


片手は彼の小指を握ったまま靴を脱いだ。



彼もそのまま足を止めて待っていてくれた。



空いた手に靴を持ち、再び波打ち際へと近づいていく。


乾いた砂が徐々に湿り気を帯びてくるのがパンスト越しに分かる。


革靴を履いたままの彼には分からないわずかな変化。


それでも、この時間を忘れないように。





最初で最後……


彼と2人だけで過ごすこの時間だけは大切な想い出にしたい……