食事が終わると、レストランを出て駐車場へ一旦向かい、鞄と花束を後部座席へゆっくりと置き、ドアを閉めた。



海へ続く道は薄暗く、周辺の建物から洩れるぼんやりとした明かりを頼りにしながら、少し前を行く彼の後を歩く。


そのまま歩いていると、塀の間に浜辺へと続く階段があった。


階段に差し掛かったところで、振り返った彼は



「危ないから」



そう言って手を差し出してくれた。



少し戸惑いながらも震えが彼に伝わりませんようにと願い、差し出された手の小指を握る。


ゆっくりとした足取りで1段1段降りる彼に続いて階段を降りた。