「藤井さん」



私は少しおかしかったのだろう。


嬉しさのあまりに……



「ん?」


「お願いが……あります」


「何?」


「海……」


「海?」


「海を……見に行っても……いいですか?」


「…………いいよ」



海が見えるレストランの一番いい窓側に座っているのに、海が見たいと言った私。


だけど、彼は私の言わんとする事をちゃんと分かってくれた。



それが無性に嬉しく思える……


と同時に……





貴方は……


私の気持ちに気付いている?



この後……


想いを伝えてもいいですか?



目を伏せてコーヒーカップを手に取る彼へ心の中で問い掛けていた。