「おいに…できるだろうか?」 「できる!」 悩ましげに俯く西郷の頭上から励ますような坂本の声がかけられる。そして、全体が畳だった西郷の視界に突然、大きな手が現れた。 「坂本さん……おいはおまさんに賭けてみるわ」 「よっしゃ!!」 手持ちぶさただった坂本の手が、痛いほど強く握られた。 合意という大きな意味を持った握手。 後に時代を大きく動かず原動力となる二人が手を組んだ瞬間だった。