空に叫ぶ愛

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「行って来ます!!」


「あ!愛、か……」



やばい!寝坊した!


おばあちゃんが何か言っていたが聞いている暇はなかった。


私は一目散に走る。


そういえば。


玄関先で当たり前のようにいつも私を待っていた空が今日はいなかった。


……何を期待しているのだろうか。


何で空がいなかったってだけでガッカリしてんの?私。



……もう、遅刻してもいっか。


息を整えながら歩く。
不意に空を見上げた。


今日は空が暗い。そう思った時、私の頭の上に〝ポタッ〟と……



「雨?」



再び雨の粒が落ちて来る。次第に雨は強くなって私に攻撃してきた。


最悪。

また、走り出す。


今年の梅雨は例年より長い。そんなことをお天気キャスターが言っていたことを思い出す。


今さら思い出しても遅いっての!


もしかして、おばあちゃんは傘を持って行きなさいって言おうとしてたとか?


濡れて気持ち悪い……