「あの……!」
私達の前にやって来た眼鏡をかけたクラスの女の子。確か名前は……福山さんだっけ?
私達は立ち上がる。
「今まで……助けてあげれんでごめんなさい!」
福山さんは若菜に向かって深く頭を下げた。
それを見たクラスメイト達は次々と若菜に「ごめん」と頭を下げる。
伝わったんだ。
私の、若菜の想いが…───
「私達もごめんなさい…」
最後は吉村と一緒に若菜をいじめていた人達も、若菜に謝った。
若菜を見ると瞳いっぱいに涙を溜め込んでいて。口に手を当てている。
良かったね、若菜。
きっと若菜が頑張ったからだね。いじめに耐えて学校に来ていたから。
私は逃げた。
山に背を向けたんだ。
山を越えないとその先の景色は見えないのに。



